Re: 
ランサーセントールさんの楽しい塗り絵コーナー


前に上げてた講座をまた見れないか?とのレスが多かったので、一部文章を加筆修正したものを再度上げることにしました。
前回と同じく、このメイキングは奇特な方々の知的好奇心を満たせればいいなぁ程度の気持ちでお届けします。


1.序



ということで、線画を塗りながら当方が考えている要点などをプリントスクリーンと追記で説明していきます。
使用ツールはSAIのみです。


2.下地



まず背景レイヤが欲しいので作ります。白は目が疲れます。
線画レイヤを選んでレイヤコマンドの「輝度を透明度に変換」ってやつを選ぶと、
線画が透明な紙に印刷されたみたいになって下の赤が透けてくれます。

何故赤を選んだかというと、謎です。


3.塗るエリアを固定する



これから沢山色を載せていくわけですが、線から色がハミでたら嫌ですよね。(当方はそうでもないんですが
なので色をつける予定のない部分に色がつかないための処理をします。下地の赤はオフにしときます。
まずセントールさんを青で囲って塗りつぶします。そんで左にあるコマンドの「不透明度保護」にチェック。
これで、チェックがついている間は青いところ以外に色が付かなくなります。

これは沢山レイヤー分けする場合には有効ですが、今回はレイヤーをさほど使わないので
この処理がなくても何の問題もないです。とりあえず参考までに。


4.配色の決定



絵の配色を決めます。多分一番頭使うところです。
セントールさんは軍服を着ていますよね。軍属であるからには組織の中の立ち居地というものが配色にも反映されて然るべき。
ヨーロッパ人の配色センスは良くも悪くも思い切ったものが多いのでここでは史実を再現せず、現代的な感覚で配色します。
3.の段階で青く塗りつぶした時点でセントールさんは青を基調にするつもりでした。立場は少尉〜中尉くらいの弱からず強すぎずなイメージで。
バトルアックスは現時点で保留。というかランサーなのにバトルアックス装備してんですかこの人。

この時に乗せる色の強さは「影の暗さ」くらいにしています。
明るい絵に影を描き込むより、暗い絵にハイライトを載せるほうが当方は楽です。


5.光を当てる



ハイライトを置いて絵を明るくしていきます。まずは光源の設定。セントールさんからみて右斜め上方から当たってる感じ。
大きい筆でぬるぬる塗っていきます。細部キニシナイで勢いよく。




光は立体の「光源から見てもっとも近い凸の部分」に当たる傾向があります。
それが赤丸で囲んだ部分。立体的に盛り上がった部分にハイライトが当たってるのがわかると思います。

ハイライトを当てるときは服の質感を意識しながらやってます。 白はシルクっぽく 青の部分はサテン地っぽいシャイニーな質感で。
キャンバスサイズ小さいとテスクチャや質感が出しにくいので、ある程度の大きさがあるといいです。
軍服のコバルトグレー部分も明るくしようと思ったけど、これに光当てると明るくなりすぎるので
むしろ影をつけて暗くしたほうがいいと判断。後回しに。

次はみんな大好きお馬さん部分。


6.筋肉



サラブレッド級のムキムキボディに塗っていきます。サラブレッドの胸筋ってなんかエロい。
まずは筋肉のブロックごとに白い塊を置いていきます。統一感を持たせるために軍服と同じオフホワイトで。




で、ぼかしツールでブロックとブロックの間を撫でていけば簡単にそれっぽく。

お馬さんって図書館行っても意外と資料が少ないんですよねー…
馬とか牛はメスの性欲が強いらしいですね。胸が熱くなるぜ。


7.斧と軍服と線の間引き



ただの銀色な斧では平凡すぎるので、本体と合わせて刃ごと青にしました。
異なるパーツに同じ色を使いまわすと統一感出るし楽です。

さきほど保留した軍服のコバルトグレーに影をつけていきます。
今回は影を足してるのでさっきとは逆に、ハイライトになるであろう場所を
残していくように影を配置していきます。




この元になったラフ絵はもともと塗るつもりが無かったので、色に変わって服のシワや影を表現する線が沢山描かれてありますが
これくらい塗ると色で立体を説明できているので、立体感を出す為の線が邪魔に感じる事があります。本来の立体にはこんな線ないんで。
今回のような厚塗りの場合、そういう線はもう用が無いので線画レイヤに戻って消しゴムで消してしまいます。

今回は斜線で表現していた帽子の影と軍服のシワ、斧のディティール線、馬の筋肉などの線を消しました



ちょっとわかりづらいけど、いらない線を消した状態。いらない線が消えて雰囲気が何となくスッキリしたと思います

これでだいたい65%の完成度。
気力が尽きればこの時点で完成としますが、今回は89%くらいまで頑張ろうと思います。


8.バランス修正



塗っていくうちに、今まで気付かなかった線画の変なところに気付いたりします。
今回は赤丸の4箇所。
顔が少々幼い感じがするのと、左胸の位置、左手が小さいところ、前垂れのバランスなどが特に不自然だったので
「投げ縄」コマンドで直したい個所を囲み、隣の拡大縮小コマンドでサイズとバランスをいじります。

ただ、これは「いい感じに歪めてる」に過ぎないので、根本的にダメだコレ、と思った時は線画そのものを描き直します。

投げ縄を使うために線画レイヤと色レイヤを結合させて一枚にします。させなくていい方法もあるかもしれないけど
この後厚塗りに近い方法で仕上げていくので、この方が当方にとっては都合が良いです。

なお、厚塗りはレイヤの切替やら移動やらが面倒じゃないので勢いで手早くいける利点はありますが
大幅な色の変更や修正をするのに手間がかかってしまうデメリットもあるので、振り返らない人向けです。


9.加筆修正ポイント 斧〜ヘルメット



ここからは完成した絵を解説していく形をとりたいと思います。

まず斧。
前もweb拍手で説明した事のある、光と影の話に通じるものがあるのだけれど
これもやはり光源の近くにハイライトを入れます。
重そうな質感を出したかったので、あまりキラキラさせず鉛のように鈍い感じで。

グラデーションをきかせるとヌラヌラした刃物っぽい雰囲気が出ます。
ただし、武器の輪郭はぼやけないようにキッチリとします。輪郭がぼやけてると硬そうに見えないので。
刃の明暗は各コーナー(曲線)ごとに 明 暗 明 暗 と交互に切り替わっていく感じ。


頭にフサフサした飾り毛がありますが、刃と毛はお互いに近い位置にあり、お互い光を受けやすいサラサラツルツルした質感なので
お互いに色が映りこみ合い、干渉し合っています。でもこの絵では失敗してますね。フサフサにはこんなに青が移らないです。

まぁこんな感じで、鏡面であるほど他の色が映りこみやすいです。ちょっとしたテクです。


10.顔〜体



目を少々修正して大人っぽい雰囲気に。
亜人さんは何となく青い目にしたい。日本人からみた外人っぽさというか。外人どころか人外だけど。

この時点でかなり影を濃く足していますが、影には少しブルーを入れています。なんとなくだけど、
青っぽい影にすると落ち着いた雰囲気がでるような気がしないでもない。今回は青が基調なんで特に馴染みます

で、ここでも金に青が移りこんでます。帽子の中の金髪を思い切って青にしてみたけど、意外と違和感ないかも。
右のもみ上げ辺りの金髪の影も結構青く。思いがけず空気遠近法っぽくなりました。

そして逆光。上で光源を右上に設定していますが、それ以外にも「環境光」っていうまんべんなく当たってる光があります。
例えるなら「デスクライト」は光源で、「天井の蛍光灯」が環境光にあたります。
光源の間逆や死角にも若干の光を当てることでより立体感が増すような気がします。

おぱーいには特に有効。けどほとんど使った事がないのは当方が貧乳至上主義者である事も少なからず起因しています。


11.下半身




個性が問われる小物部分。

ベルトと前垂れ付近に小物を描き込んでミリタリー要素を強めています。
セントールさんは腰周りに色々ブラ下げて遠征しそうなイメージが特に強いのでベルトとは相性がいい感じ。
前垂れを横切るストラップに剣の一本でもブラ下がってそうですが割愛しました。斧一筋で。

とか何とか理屈を付けながら足していくとそれっぽさが出るんじゃないでしょうか。

あとはストールに金色のフチ取りをして階級高そうな感じに。
お股への配慮も欠かせません。大切なものが見えないように布でガード。

馬の筋肉の影にも青をいれてみたら上半身との親和性が上がったような気がします。でもちょっと青すぎたかな…
影になってる後ろ足は部分選択してフィルタいじって彩度を落とし、暗く。

彩度を落とすと遠くにあるような奥行き感を出せるテクが「空気遠近法」というやつらしいです。
暖色より寒色の方が遠くに見えるという特性があるので、青っぽく鈍く塗ると遠くにあるように見えます


12.完成



セントールさんが塗り終わりました。当方の89%は出せたと思います
あとは背景ですが、やっぱり赤は合ってない。服の色と近い方がお手軽にマッチしそうなので青に変えます。

で、めでたく完成。



SAI使って此処まで描くことは滅多にないんですが、線画を塗っていく場合はだいたいこんな感じです。
当方はエロゲ絵みたいな綺麗な描き方ができないのでどうしても荒い厚塗り形式になりますが、色の置き方は
線画がどうであれ通じるものがあるはず。と思いたい。

これでだいたい中級くらいのレベルだと思うので、
これ以上の事とか基本的な事はHOW TO本かグーグル大先生に聞こう!

メイキングはこれが最初で最後だと思いますが、参考になる部分が少しでもあればこれ幸いです。